商標登録出願をするまで
Aさんは、ある商標を、ある商品又はサービス(役務)に使用したいと考えています。折角、自ら使用する商標ですから、他人には使用されたくはありません。どうしたらよいのかと考えを巡らしていたところ、商標権と言うものを取得すれば、他人にその商標を使用されることなく、自分のみがその商標を使用できることを知りました。しかし、どのようにして商標権を取得したらよいのかさっぱり分りません。
そこで、インターネットの検索エンジンに「商標登録出願」と言うキーワードを入れて調べてみました。すると、商標登録出願を代理してくれるたくさんの特許事務所が見つかりました。Aさんは、これらのたくさんの特許事務所の中から、適当に一つを選び出し電話をかけてみました。商標登録出願に必要な費用を尋ねてみると、商標登録出願には思っていた以上にお金がかかることが分りました。しかし、折角だから少々高いお金を払っても商標権を取得したいと考えました。そこで、商標登録出願を代理してくれる特許事務所毎に、どの程度の費用がかかるのかを整理してみました。際立って安価な事務所、その一方、際立って高価な事務所もありました。あまり安過ぎても不安だし、余り高すぎても費用が嵩むばかりです。特許事務所を選定する判断基準を持たないAさんは、費用別に整理した特許事務所の中から中程度の費用の特許事務所をいくつか選定して、この中から自分の気に入った一つの特許事務所を選び出し、その事務所に商標登録出願を依頼することに決めました。
その特許事務所に連絡して商標登録出願をしたい旨を告げると、どのような商標を出願したいのかと尋ねられました。そこで、Aさんはかねてから使用したいと考えていた商標を、その特許事務所の人に伝えました。すると、その人は、どのような商品又はサービス(役務)にその商標を使用するのかと尋ねてきました。このとき、特許事務所の人からいろいろな話を聞いて、商標と言うのは、その商標を使用する商品又はサービス(役務)と一体になっていることを始めて知りました。その商標を使用する商品又はサービス(役務)を教えると、特許事務所の人は、この商標は近い将来使用するつもりですか、それとも当分使用するつもりはなくただ権利としてとっておきたいと思っているのですかと尋ねてきました。すぐ使用するつもりですと答えました。すると、それでは出願をする前に予め調査をしておいた方が良いと言われました。この調査をすると出願する時点で、この商標が登録になるか否かを相当高い確率で判断することができると言うのです。近い将来、又は、直ぐに使用するつもりであれば、この調査をして登録になる確率が高いか否かを確かめておいたほうが良いと言うのです。この調査にもある程度の費用がかかるとのことでしたが、使用してしまった後に、この商標が登録にならないと分ったのでは遅いと思いこの調査を依頼することにしました。
*弊所におきましては、この調査のために別途料金は不要です。
数日後、特許事務所の人から連絡がありました。調査した結果、この商標は登録になる確率が高いことがわかったというのです。そこで、Aさんはこの商標について商標登録出願をすることを決心しました。特許事務所を決定してから出願の決定まで5日ほど経過していました。
*弊所におきましては、お客様の出願のご依頼から商標登録出願完了まで2〜4日間程度です。
商標登録出願をするとき
権利を取得したい商標及び商品又はサービス(役務)が決まりましたので、後は商標登録出願をするばかりです。商標登録出願はこの特許事務所の人に任せておけば良いのです。直ぐに特許事務所の人から出願前の最終確認が入りました。ファックス(メール)で商標登録出願の願書の写しを送ってきていました。Aさんは、商標及び商品又はサービス(役務)を確認し、氏名、住所も確認して、この内容で商標登録出願をしてくれるように連絡しました。
しばらくして、特許事務所から商標登録出願をした旨及び商標登録出願番号の連絡が入りました。これで商標登録出願は完了しました。特許事務所を決定してから一週間弱でした。
*弊所におきましては、お客様の出願のご依頼から商標登録出願完了まで2〜4日間程度です。
拒絶理由通知が送達されるとき
Aさんは、商標登録出願前に、その商標に関して十分な調査をしました。加えて、その商標は商標登録を受けるために必要ないわゆる一般的登録要件を有していました。それで、拒絶理由通知が送達されることもなく、無事に商標登録がなされました。
しかし、事前に十分に調査をしても調査漏れと言うことも時々生じます。特許事務所も神様ではありませんので調査漏れをすることもあります。また、データベースに登録されていない同一又は類似の先願商標が存在することも極く稀にはあります。また、どうしてもある商標の権利が欲しいと言うようなときには、登録になる確率が低くてもそれを承知で出願することもあります。そのようなときには、この拒絶理由通知と言うのが特許庁審査官から送達されます。その内容は、あなたが出願した商標は、これこれしかじかの理由で商標登録を受けることができませんと言うものです。この拒絶理由通知が送達されたからと言って、未だ、商標登録を受けることが出来ないと決まったわけではありません。この拒絶理由通知に対しては、意見書というもので出願人の反論を十分に主張するのです。また、必要なときには補正をして争うこともできます。意見書や補正書については特許事務所の指示に従うのが賢明です。
ケースバイケースでありますが、この拒絶理由通知が送達されるのが商標登録出願から約4〜6ヶ月経過したときです。そして、この拒絶理由通知に対して意見書を提出し、その後、1〜2ヶ月で商標登録を受けることが出来るか否かの判断がなされます。
商標登録がされるとき
Aさんの出願した商標は拒絶理由通知もなく、無事に商標登録されました。商標登録をしてよいという通知が特許庁から届いたのが、商標登録出願をしてから、約5ヶ月経過した頃でした。直ぐに特許事務所に依頼して10年分の登録料を納めてもらいました。それから、2週間ほどして商標登録証が届きました。
Aさんの場合は、拒絶理由通知もなく商標登録されましたので、約5ヶ月と言う短期間で商標権を取得することが出来ました。拒絶理由通知が送達された場合には、意見書の提出などの手続があります。従って、商標登録出願から登録まで5〜6ヶ月、長いものでは7〜9ヶ月近くかかることがあります。また、最悪の場合には、拒絶査定がなされてしまい商標登録を受けることが出来ないこともあります。